相続税評価額の算出
相続税の申告に用いる評価額は、国税庁の「財産評価基本通達」に従います。評価方法に共通する原則や各種評価単位ごとの評価方法を具体的に規定し、取扱いを統一することとして
います。
そのため、一般的な相場と評価額が異なる場合があります。
財産の相場を基準に行う遺産分割とは異なる点です。
土地の評価に用いられる「路線価」などは国税庁のホームページや最寄りの税務署でも調べることができますが、専門知識が要求されるうえ、個別の土地ごとの状況を考慮する余地があるなど、その判断は複雑になります。
申告に際しては専門家にご相談されることをおすすめします。
評価の詳細は、「財産評価基本通達」に記載されていますが、主な例をご紹介します。
土地の評価方法
路線価方式は、毎年8月に公表されます。メディアなどで「日本一高い土地」について話題になりますが、これはその路線価のことで、相続税の土地の評価に使われます。
基本は路線価×土地の面積ですが、角地であったり、道路に面している部分が極端に狭い、など評価に影響する要素があれば、評価額を調整(補正)します。
A.路線価方式 | B.倍率方式 |
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主に市街地的形態を形成する地域で採用される方式 | 都市郊外の地域で路線価が定められていない地域で採用される方式 |
毎年各国税局が作成する路線価図に基づいて評価 | 固定資産税評価額に基づき、 地域ごとに定められている倍率表を使用して評価 |
路線図×(※)補正率・加算率×地積 | 固定資産税評価額×倍率 |
土地の間口、奥行き、地形等で利用しにくい土地は一定の方法により評価額が低くなる。
逆に二つの路線に面してる角地などは、土地の利用価値が高くなるため評価額も高くなる。
- 借地の評価 AまたはBの評価額×借地権割合
- 貸地の評価 AまたはBの評価額×(1-借地権割合)
- 土地所有者の貸家が建っている土地の評価(貸家建付地)
AまたはBの評価額×(1-借地権割合×※30%) ※大阪国税局管内の一部については40%
建物の評価方法
- 自用家屋 固定資産税評価額×1.0
- 貸家 自用家屋の価額×(1-※30%) ※大阪国税局管内の一部については40%
上場株式の評価
次のうち、最も低い金額で評価します。
- 相続開始の日の最終価格
- 相続開始の月の最終価格の月平均額
- その前月の最終価格の月平均額
- その前々月の最終価格の月平均額
生命保険金の評価
受取金額-非課税枠(500万円×法定相続人の数)
退職手当金の評価
受給金額-非課税枠(500万円×法定相続人の数)
【弔慰金の非課税枠】
- 業務上の死亡の場合 →死亡時の普通給与の3年分相当額
- 業務上以外の死亡の場合 →死亡時の普通給与の6ヵ月分相当額
生命保険契約に関する権利(保険事故が発生していないもの)
解約返戻金相当額
その他の評価
- 預貯金・・・課税時期の預け入れ残高。定期預金などは、課税時期までの利息を加え評価
- 公社債…券面額100円あたりの価額を基準として評価
- 利付公社債・・・発行価額(上場されているものは、最終価格と平均値の低い方)+既経過利子の手取額
- 割引公社債・・・(上場公社債)課税時期の最終価格 / (その他) 発行価額+既経過償還差益の額
- 貸付信託・・・元金+既経過収益の手取額-買取割引料
- 投資信託・・・上場されているものは「上場株式」の評価に準じ、それ以外は解約請求金額
- ゴルフ会員権・・・取引相場×0.7
- 書画・骨董品・・・専門家による鑑定価額